米国のシリコンバレー銀行の破綻が騒がれる中、世界最大級の銀行グループであるクレディ・スイスの株価の下落が話題となっている。
クレディ・スイスは投資銀行部門の不振もあり、決算が振るわなかったことから、増資や投資銀行部門の縮小、数千人の人員削減を伴う戦略計画を発表し、収益力回復を進めていた。しかし株価の下落が止まらない状況である。
そこで、クレディ・スイスは破綻するか、考察してみた。
2022 年第 4 四半期の財務実績
- 税引前損失 13 億スイス・フランを計上。
- 調整後税引前損失は 10 億スイ ス・フラン
- CET1 比率 14.1%、Tier1 レバレッジ比率 7.7%
- 2022 年第 4 四半期末現在の平均流動性カバレッジ比率(LCR)は 144%1
自己資本比率等の安定性の指標や、流動性指標は問題ない水準であるが、税引前損失は 10 億スイ ス・フラン(約1400億円)と赤字である。そのうえ、過去2年の財務報告と管理手順に「重大な弱点」があったとし、これを是正する新たな計画を採用すると発表している。
さらに、主要株主のサウジ・ナショナル・バンクが追加投資を否定する発言も伝わり、さらなる下押し材料になっている。
外部格付
S&Pの外部格付は、BBB-とギリギリ投資適格級である。
CDS
デフォルト(債務不履行)のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムは上昇しており、8.35%に拡大し過去最高を更新している。
また、保証料は同業のUBSグループの約20倍、ドイツ銀行の10倍に相当する。
クレディS 社債保証コストが1000bp接近-政府支援議題でないと会長 (msn.com)
波及、影響
クレディ・スイスはG-SIBS(グローバルなシステム上重要な銀行)に認定されており、世界の金融システム上(国際的活動、規模、相互関連性、代替可能性、複雑性)重要な銀行である。
総資産残高も90兆円ほどあり、クレディ・スイス発行の債券も広く購入されている。
Too big to fail「大きすぎて潰せない」といわれており、金融当局の支援なども予想されるものの、信用で成り立っている金融業界において、一度信用を失ってしまうと、崩れる可能性もある。
今後も注視が必要である。
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