国内銀行の金利リスクを見てみよう!

ALM

米銀シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻したことにより、金融システムへの影響が不安視されている。破綻要因として、ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)の失敗が考えられる。

ALMとは資産(Asset)と負債(Liability)の双方を一元的に総合管理(Management)する手法のこと。特に、銀行や保険会社など、多額の預金や保険払込金を「負債」勘定として有する金融機関のリスク管理に用いられる。「資産」には国債など投資収益を上げるための有価証券が該当し、市場金利や株価、為替動向などによる価格変動や流動性などのリスクを負う。金利変動による予想損益額などのシミュレ―ションを行い、時価変動する資産と負債との間でバランスを取りながら、金融機関の経営リスクを軽減する目的で活用される。

新型コロナウイルス下の金融緩和に伴うカネ余りで、スタートアップは資金調達を拡大した。21年の米国のVC投資は過去最高となった。資金の余ったスタートアップがSVBに預金した。

預金が増える一方、十分に資金調達していたスタートアップへの融資需要は低かったため、SVBは運用先として住宅ローン担保証券(MBS)など有価証券の購入にあてた。米連邦準備理事会(FRB)が22年3月に利上げを開始し、急な金利上昇に伴い保有する債券の含み損が想定を上回って拡大。含み損を考慮するとすでに実質債務超過の状態にあったとみられている。

MBSのしかも、10年満期の足の長い奴を買いまくっていた模様とのことで、金利上昇リスクに耐えられなかったということだ。そこで、国内銀行の円金利リスク、外貨金利リスクについて、日本銀行の金融システムレポート(金融システムレポート(2022年10月号) : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp))の内容を紹介していきます。

円金利リスク

金融機関の円債投資にかかる金利リスク量を 100bpv でみると、データがさかのぼれる 2002 年度以降の既往ピーク圏の水準となっている(図表)。

リスク量増加の背景には、いずれの業態においても投資残高が増加していることのほか、地域金融機関を中心に、大量償還を迎えた高利回り債の利息減少を補う観点から、保有債券のデュレーションを長期化させていることが挙げられる。

リスク量の対自己資本比率をみると、大手行が 10%程度、地域銀行が 20%程度、信用金庫が 30%程度まで高まっている。このうち地域銀行や信用金庫では、金融機関間のばらつきが相応に大きくなっている。円債投資のシェアが高い地域銀行や信用金庫では、自己資本に対する割合が高く、注意が必要だろう。

円債投資においても、海外市場金利の変動が金利リスクを拡大させ得る点には注意が必要である。

外貨金利リスク

金融機関の外債投資にかかる金利リスク量は、大手行・地域銀行とも減少している(図表)。

大手行・地域銀行のいずれも、海外金利上昇に対する警戒感から、これまで積み上げてきた長期ゾーンの残高を中心に削減し、デュレーションを短期化させている。この結果、リスク量の対自己資本比率は、大手行が 10%程度、地域銀行が 5%程度と、総じて抑制された水準となっている。

今回の金利上昇局面においては、これまでのところ、為替円安が地域金融機関の保有する外貨建て商品の評価損拡大を抑制する方向に作用してきたが、今後の為替動向次第では、評価損がさらに拡大することも考えられる

まとめ

日本銀行の金融システムレポートによると、円金利では対自己資本比率の金利リスクが高まっている一方、海外金利リスクでは上昇に対する警戒感から、総じて抑制された水準となっている。

売却損として確定していたり、市場性信用リスクやデュレーションリスクを管理しながら金利リスクを適切に管理していくことが求められる。

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