2026年3月期第1四半期、マツダは営業損益-461億円、最終損益-421億円の大赤字に転落した。前年同期の黒字(最終利益498億円)からの急転直下である。
減益要因は明確。米国による対日関税強化の影響で、たった1Qで496億円の追加関税負担が発生した。石破政権が「15%で済んだ」として胸を張るなか、現場では血を流す事態となっている。
関税「たった15%」の破壊力
石破内閣の閣僚や与党幹部の中には、日米交渉で自動車関税が「15%に抑えられた」と成果を強調する向きがある。だが現実はこうだ。
✅ 今期の関税影響は通期で2,333億円
✅ マツダはその60%超(約1,400億円)をコスト削減等で相殺する計画だが、残りの900億円超はそのまま赤字要因
政治家が“象徴的勝利”に酔っている間に、日本の自動車メーカーは実利で敗れているのだ。
為替・コスト増に泣き、台数も振るわず
赤字転落の背景には、関税だけでなく以下の逆風も重なっている:
- 為替:USDで11円円高(156円→145円)
- 原材料・物流費の上昇:36億円
- 連結出荷台数:前年同期比-9%(291千台→266千台)
中でも北米出荷は10%減少。関税回避のために、出荷を絞らざるを得なくなっている実情がある。
米国市場、マツダ車の「価格競争力」は低下
北米市場の販売台数は14.7万台(+1%)と微増だが、**米国単体では2%減の10万台、シェアも0.1pt減の2.4%**に留まった。
特に関税の打撃を受けたのが価格帯の低いCX-30。コスト増により価格競争力を失い、販売が振るわなかった。一方で新型CX-50やCX-70が健闘しているのが救いだ。
マツダの企業努力は本物、だが政治は…
マツダは以下の方法で、関税ショックの60%以上(約1,400億円)を吸収しようとしている:
- コスト削減:+400億円
- 固定費圧縮:+400億円
- 台数構成の見直しなど:+608億円
企業努力のレベルとしては極めて高い。だが本来、こうした「国際競争力毀損」は政策で守るべき領域ではないか。
まとめ:現場の悲鳴を無視して“勝利宣言”するな
第1四半期の赤字は、石破政権の対米交渉が「現場にどう響いたか」を如実に物語る結果だ。
表面上の“15%関税合意”を成果と語る政治家たちは、「たかが15%」が経営に与える破壊力を理解しているのか。
石破茂よ、赤沢亮正よ──現場の叫びに耳を傾けよ。喜んでいる場合ではない。
マツダの奮闘は続くが、それを支えるべき政治の責任も、同様に重い。
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