1. まず、何が弱点だったの?
- いま夢洲へ行ける鉄道はOsaka Metro 中央線の1本だけ。この“1本頼み”だと、事故やトラブルで止まったときに一気に動けなくなります。
→ だから「陸の孤島」になりやすいのが構造的な弱点。
2. 府市が出した最新プラン
大阪府・大阪市は、北側からの新アクセスを比較検討しました。候補は2つ。
- JR桜島線の延伸(桜島→舞洲→夢洲)
- 京阪中之島線の延伸(中之島→九条)
(いわゆる「北ルート」。南は既存の中央線ルート)
この新ルートは2037年ごろの開業を想定(検討上の仮定)。本格的な評価年は2040年で試算されています。
3. 数字で見る“効果”
混雑が分散される(=止まった時も代わりがある)
- 北ルートができると、中央線の混雑が大きく減る試算(弁天町〜朝潮橋の通過人員が約6.5万人/日減)。
→ ふだんの快適さが上がるうえ、トラブル時の逃げ道にもなる。
利用者はどれくらい?
- 2040年時点の1日あたり輸送人員(試算)
- JR延伸:約94,400人/日
- 京阪延伸:約30,000人/日
- 2つを合わせた効果(重複含む):約121,000人/日
所要時間はどれだけ縮む?
- 夢洲→新大阪:34分→25分(▲9分)、乗り換え2回→0回
- 夢洲→大阪(梅田):26分→20分(▲6分)、乗り換え1回→0回
- 夢洲→祇園四条:89分→78分(▲11分)、乗り換え2回→1回
(直通や同一ホーム乗り換えを前提とした試算)
4. お金の見え方(超ざっくり)
- 費用対効果(B/C)は、JR延伸が約1.14、京阪延伸が約1.13。
→ 投資に対して、社会全体の便益が上回る水準。 - 収支面の試算では、検討ルート(JR・京阪)はどちらも「40年以内に黒字化」の見込み。一方、昔の“答申ルート(北港テクノポート線の北側部分)”は40年以内に黒字化しない見立て。
※整備のしくみは**上下分離(第3種が線路などを整備・保有、第2種が運行して使用料を払う方式)**を仮定して試算しています。
5. できるまでの“つなぎ策”
- 開業までは、混雑やトラブルを考えてバス(シャトル)で一部を代替する想定。計画的に動かせる「BRT的な運用」がカギ。
6. 結論
- 夢洲が詰まったのは、鉄道が1本だけだったから。
- JR桜島線の延伸(+京阪延伸)でルートを2本化できれば、混雑が減り、時間も短縮、トラブルにも強くなる。
- 費用対効果も収支も“やる価値あり”の数字が出ている。
- 開業までの間は、代替バスの即応体制など運用の底上げが重要。
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