2019年、SBIHDの北尾吉孝CEOが「地銀連合構想」を掲げ、SBI HDらが出資する共同持株会社のもとに経営難となった地方銀行と連携し、SBIのフィンテックや運用技術を提供して成長軌道に乗せ、地銀の連合体を第4のメガバンクとすることを目指すことを明らかにしている。
ここでは、SBIの「第4のメガバンク構想」の狙いはどこにあるのかを考えていく。
出資銀行について
第一弾として、2019年9月に経営が悪化していた島根銀行へグループ全体で25億円を出資し、同行の筆頭株主となっている。その後、福島銀行にも出資して筆頭株主となり、筑邦銀行、清水銀行、東和銀行、じもとホールディングス、筑波銀行、大光銀行とも資本提携を行っている。SBI HDは地銀への出資について、10行程度にまで出資範囲を広げる予定であるという。
そして、2021年12月に新生銀行がSBIHDの子会社となり、2023年1月4日、「株式会社SBI新生銀行」に商号変更している。
SBIの規模について
SBIの規模をメガバンクと比較してみる。
三菱UFJフィナンシャルグループの総資産は394兆円に対して、SBIHDの総資産は21兆円と10分の1未満である。当然、収益についてもメガバンクには到底及ばない水準である。
総資産21兆円というのは、ふくおかFGや横浜銀行を傘下とするコンコルディアFGの総資産の水準感と近い。
証券口座数は野村證券を超えた
総資産はメガバンクへ届かないが、証券口座数では、ガリバーの野村證券やSMBC日興を上回っている。
2022年3月期SBIホールディングス株式会社決算説明会 (sbigroup.co.jp)
SBIグループをあげて、NISAやiDeCoを戦略的商品と位置付けて注力しているようだ。
政府も資産所得倍増プランの柱として、推進を検討しているNISAやiDeCoの制度拡充・改正を実施予定であり、SBI証券は重要な戦略的分野として NISAへの取り組みに注力してきた
地銀の更なる収益力向上に向けた施策
① システム面の抜本的な見直しを含む経営基盤の改革
銀行のシステムは数年に一度の大規模システム更改に伴う多額の投資が必要であり、システムコスト削減が課題となっている。SBIグループとして、クラウドを活用したオープンな技術への移行や、API化により、高い拡張性を確保することができる。
② ノンバンク領域におけるフィービジネスの拡大支援
SBIグループがノンバンク領域のM&Aを通じて獲得する機能を地域金融機関のフィービジネスの拡大につなげることも検討している。
③ 有価証券運用の高度化を通じた更なる収益力強化
SBIアセットマネジメントにおいては、高格付・ 高流動性の海外債券を中心に、顧客ごとに カスタマイズした運用商品を極めて低コストで提供している。また、ポートフォリオの見直しにより、従来マイナスであった実質利回りの大幅な改善が期待できる。
- 地方創生の実現に向けた次なる一手
地方創生の実現には、地域金融機関・地域住民・地域産業・地方公共団体という4つの経済主体の活性化が必要不可欠であるが、地方創生パートナーズを核として、地方公共団体や地元企業に直接的にアプローチする取り組みを推進する。
SBIの狙いは何か
メガバンクという言葉を使ったので、三菱UFJ、三井住友、みずほに続く巨大な銀行をSBIホールディングス資本で作るのかと思われたかもしれないが、共同持ち株会社を設立し、地銀の収益力強化を目的に、共同体で日本全国の地銀を運営支援する体制を構築しようというものになります。
そして共同持ち会社から支援先の地銀に対して、資産運用商品・金融サービスやシステムなどのインフラなどを提供することを考えています。
つまり、金融プラットフォーマーを目指しているのではないかと考えられる。
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