ローラと聞いて、ある年代以上の方は西城秀樹さんの歌の「傷だらけのローラ」の歌いだしを、またある世代の方は「やっほー、ローラだよ、ウフフ」のタレントのローラさんを思い浮かべると思いますが、銀行で融資を担当していたり、本部で収益管理や営業企画を担当している方は違うものを想像していると思います。
融資の金利交渉の前に「ローラ算出しといて!」と言われたり、「ローラが悪いからダメ!」と審査部から指摘を受けたりと、よくわからないのに融資判断に使用されているので、あまりいいイメージはない方が多いでしょう。
そこで、簡単にRORAについて解説していきます。
RORAの定義
RORAとは、Return on Risk-Weighted Assetsの略で、金融機関が取っているリスクに対して収益をどれだけ上げているのかを示す指標です。
RORAの算式は以下の式です。
また、当期純利益などの利益をリスクアセットで割った数値を内部管理に使用している銀行も多いのではないかと思います。
RORAの取り組み背景
銀行を取り巻く経営環境は非常に厳しく、足元で出口は見え始めているものの、低金利環境で、利ザヤがとれないことであったり、国内が低成長であるため、資金需要が低迷していたり、地方をみれば人口減少や少子高齢化もあります。
そんな中で生き残りをかけ、各金融機関や新たな業種とも激しい競争をしなければならないということで、収益管理、採算管理の見直しや高度化になってくるということになります。
RORAの目的
銀行を取り巻く厳しい経営環境の中で、どの分野でどのように収益をあげていくか等の経営計画の策定、また貸出金利の適正化が必要になってきます。その1つの指標としてRORAが使用されます。
銀行は経営の安定性の指標である自己資本比率が一定以上でないと営業ができなくなります。そのため安定性だけで考えれば、自己資本比率は高いほうがいいです。
一方で、株式会社であるために収益性も求められるので、財務指標のROEの上昇を考えなければならないのですが、ROEの分子の収益を伸ばすためならず、分母の自己資本を有効に活用するという面も必要になります。
融資取引ごと、顧客ごと、顧客グループごと、支店ごと、支店エリアごと、カンパニーごとなど、RORAにより採算性を算出することで、どこで儲けているのか、また儲かっていないかを明らかにし、経営管理や営業戦略に活用するのがRORA算出の目的です。
RORAの課題、問題点
- 現場への浸透度が低い
やっぱり営業現場からみてRORAって結局よくわからないし、金利の設定なんて他行との競合状況や、取引先社長が金利設定にうるさいかどうか、支店長の一存、くらいで決まってしまうのではないでしょうか。
そのような定性的ないいかげんな金利設定を見えやすくするのがRORAのはずが、結局営業現場に浸透していないという状況があると思います。
本部としては収益目標達成のために営業現場へわかりやすく指導する必要があります。
- データが不十分で収益構造が把握されていない
融資取引ごと、顧客ごとくらいはRORA算出ができても、顧客グループや支店ごととなると、データがないというような銀行が多いのではないでしょうか。
採算性向上!みたいな営業戦略や通達がでても、現状のRORAがよくわからないと、支店経営に活用できないというのが現状かと思います。
内部管理のためにRORAデータの蓄積等が必要になってきます。現在は銀行内にも高度なデータ分析能力をもったデータサイエンティストが増えてきており、データ分析結果を銀行経営に活用する必要がありますが、もとのデータがないというのは大きな課題でしょう。
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