リーマンショックを引き起こした証券化商品であるが、今年度に米国のリセッション(景気後退)が多くの景気予想で見込まれる中、証券化商品を保有する銀行は損失を出す可能性がある。
そこで証券化商品投資ランキングを作成した。信用リスクのリスクアセット算出基準が内部格付手法行はディスクロージャー等で証券化エクスポージャーの残高を開示しなければならないため、今回は内部格付手法行のみをランキングの対象としている。
証券化とは
証券化商品とは、一定の収益が見込める資産を裏付けとして発行される有価証券である。
証券化商品の特徴の1つ目は小口化することで資産の取引がしやすくなる。
証券化商品の一番の特徴は、原資産を小口化することで取引がしやすくなる点だ。
また、証券化商品の特徴の2つめは、優先劣後構造により、資産の信用力を補完できる
証券化商品は、その信用力を高めるために優先劣後構造の仕組みをとっている。
投資家にとって、優先劣後構造のメリットはリスク許容度に合った取引ができる点である。
証券化とリーマンショック
リーマンショックのダメージが世界中に広がった原因は、サブプライムローンの証券化である。サブプライムローンの証券化とは、貸したお金を返してもらう権利を売ることだ。
サブプライムローンを利用するのは、借金を踏み倒す可能性の高い低所得者たちです。住宅価格が値上がりしており、貸し倒れを踏まえて高金利で貸しているとはいえ、リスクはない方が良い。ざっくり言ってしまうと、サブプライムの証券化は、ローン会社にとって利益を確定させ、リスクを回避できるというメリットがある。
当時の証券化商品は、高い利回りと安定性が魅力的な投資商品でした。世界中の投資家から支持を集め、証券化市場は急速に成長した。しかし、良いことばかりではなく、複雑でわかりにくい仕組みの商品や担保の信用性が低い証券も発行された。
2007年、プロの投資家たちはサブプライムローンの延滞率が上がっていることに気づいたが、そこで、危機感を抱いた投資家たちは、サブプライムローン関連の証券化商品を売却し始めた。
対して、知識の浅い投資家たちは的確な価格を出せず。適正価格がわからなくなってしまい、商品価格の下落を後押ししたという経緯があります。
ランキング
ダントツで農林中央金庫がトップです。農林中央中央金庫の証券化残高の多さは、各経済誌にも取り上げられたが、そこで話題となり、残高を縮減してきたものと考えられる。
基本的にメガバンクが上位、地銀では投資がない先もある。
まとめ
総資産に占める証券化エクスポージャーの残高は農林中央金庫を除くと、3%程度と低く、また地銀によっては上位行であって証券化投資をしていないことがわかる。
またディスクロージャーではリスクウェイトの内訳が掲載されているが、リスクウェイト20%と低リスクの商品に投資している銀行が多い。
これは返済が優先的であったり、外部格付が優良な先である。国内の住宅ローンは比較的デフォルトが少ないため、住宅ローンの証券化は低リスク商品が多い。
証券化商品は、リーマンショック後に厳しい規制となり、リスクウェイトが高くなったり、モニタリング等の要件が厳しくなっている。
リーマンショック時とは違い、証券化商品が原因で金融危機を拡大させるということはなさそうだ。
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