募金額の推移とその特徴
1978年の放送開始から続く「24時間テレビ」。その目玉は“募金”だが、実はその金額には大きな波がある。累計の推移を見れば、東日本大震災のあった2011年に史上最高額の約19.8億円を記録。その後も8〜10億円台を中心に推移しているが、特定の年に大きな跳ね上がりがある。
その要因の一つが、パーソナリティの人気である。
ジャニーズと募金額の密接な関係
2003年以降、ジャニーズ系グループがメインパーソナリティを務めることが多くなった。その結果、平均募金額は10億円台で安定している。特に「嵐」が務めた年には顕著な効果が見られる。
- 2011年:震災支援で19.8億円(歴代最高額)
- 2013年(嵐):15.45億円
- 2019年(嵐):15.5億円
嵐がパーソナリティに立った年は、いずれも突出した募金額を記録している。つまり、**「嵐=募金が集まる」**という公式が成り立ってきたわけだ。
また2022年には「ジャにのちゃんねる」がパーソナリティを務め、SNS世代を巻き込む話題性で募金を底上げしたと指摘されている。
24時間テレビ ― 募金額とパーソナリティの相関をデータで検証
募金額の年表(主要年次)
年(回) | メインパーソナリティ | 募金額(億円) | 備考 |
---|---|---|---|
2010(第33回) | TOKIO | 9.84 | 平均的水準 |
2011(第34回) | 嵐 | 19.86 | 東日本大震災支援で過去最高 |
2012(第35回) | 嵐 | 11.74 | 震災翌年、依然高水準 |
2013(第36回) | 嵐 | 15.45 | 嵐効果+安定的高額 |
2014(第37回) | 関ジャニ∞ | 9.85 | 10億円弱に戻る |
2015(第38回) | V6 & Hey! Say! JUMP | 8.58 | 減少傾向 |
2016(第39回) | NEWS | 8.89 | 低水準 |
2017(第40回) | 櫻井翔(嵐)、亀梨和也、小山慶一郎 | 6.94 | 過去最低水準に近い |
2018(第41回) | Sexy Zone | 8.94 | 微増 |
2019(第42回) | 嵐 | 15.50 | 再び大幅増 |
2020(第43回) | メンバー混成(コロナ禍) | 8.35 | 無観客の影響 |
2021(第44回) | King & Prince | 8.80 | コロナ禍続く |
2022(第45回) | ジャにのちゃんねる(嵐・NEWSほか) | 10.80 | 話題性で回復 |
2023(第46回) | なにわ男子 | 9.40 | 安定水準 |
2024(第47回) | Sexy Zone(推定) | 9億前後 | 報道ベース |
2025(第48回) | King & Prince、横山裕(SUPER EIGHT)ほか | TBD | ジャニーズ効果再現? |
※参考:日本テレビ公式発表・各種報道まとめ
2025年のパーソナリティと注目点
では今年はどうか。2025年のパーソナリティ陣は以下の通りだ。
- 総合司会:上田晋也(くりぃむしちゅー)、羽鳥慎一、水卜麻美(日本テレビアナ)
- チャリティーパートナー:
- King & Prince(髙橋海人、永瀬廉)
- 志尊淳
- 長嶋一茂
- 浜辺美波
- 氷川きよし
- やす子
- チャリティーランナー:横山裕(SUPER EIGHT)
ここでもやはり**ジャニーズ系(現King & PrinceやSUPER EIGHT)**が存在感を放っている。過去データから見ても、人気ジャニーズを起用することは募金額を押し上げる“鉄板策”といえる。
本質的な問題 ― 募金は誰のためか?
ただし、ここで忘れてはいけないのは「募金額を上げること=善意の可視化」ではないということだ。
嵐やKing & Princeが出れば数字は跳ねる。しかし、それは本当に「支援の輪が広がった」ことを意味するのか。それとも「アイドル人気を利用した数字遊び」にすぎないのか。
視聴者の善意とアイドル人気が混ざり合うこの仕組みは、果たして純粋なチャリティーといえるのか。
まとめ:ジャニーズ人気に依存するチャリティー
24時間テレビの歴史を振り返れば、人気パーソナリティ=募金額増加という相関関係は明白だ。とりわけ嵐の存在感は圧倒的で、募金額のピークと重なっている。
今年もKing & Princeや横山裕といったジャニーズ勢が顔をそろえる。募金額がどう動くかは想像に難くない。
だがその一方で、チャリティーそのものが「アイドル人気に依存している構造」こそが問題ではないか。
本当に必要なのは、アイドルの人気頼みではなく、寄付先・寄付方法・透明性を正しく示すことだろう。
👉 「嵐やジャニーズが出れば金が集まる」――その構造自体を疑うべき時に来ている。
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