2022年3月基準の決算から地方銀行の自己資本比率のワーストランキングを作成した。
自己資本比率は企業の安全性を見るための財務指標であり、特に銀行にとっては経営の安定を保つための自己資本比率規制がある。
海外拠点のない「国内基準行」は4%以上、海外拠点を持つ「国際基準行」は8%以上が求められている。地方銀行の大半は「国内基準行」に分類されるものの、健全性の目安として8%を求められることが多い。
自己資本比率を元に株式投資を検討する投資家もいるため、非常に重要な指標であり、もし自身が働く銀行や預金取引をしている銀行がワーストランキングの上位であれば要注意であろう。
自己資本比率8%未満の地方銀行
自己資本比率のワーストランキングトップは福井県に本社がある第二地方銀行の福邦銀行である。自己資本比率は6.44%と国内基準行の最低水準である4%は上回っているものの、一つの目安である8%は大きく下回っている。2021年には同じ福井県を地盤とする福井銀行との経営統合をしている。
ワーストランキング2位の島根銀行、3位の福島銀行はSBIホールディングスの出資を受けており、SBIグループ経営基盤を活用して経営している。
自己資本比率が低い金融機関は、こういった買収のターゲットとなりやすいのであろう。
自己資本比率が8%以上10%未満の銀行
このゾーンには56行が入る。
自己資本比率が10%以上12%未満の銀行
このゾーンには26行が入る。
自己資本比率が12%以上の銀行
自己資本比率が高いゾーンには、11行が入る。横浜銀行や静岡銀行などの地方銀行では巨大な銀行は自己資本比率が高いことがうかがえる。
自己資本比率が最も高い地方銀行は、長野県の八十二銀行の17.62%となっている。
安定性は抜群に良いことがわかる。
一方、経営の効率性を考えると、自己資本比率が高すぎることは良いことではなく、投資家からは株主還元(配当)を求められ、いわゆるアクティビストからは買収とは別のところでターゲットとなっているようだ。
まとめ
ここでは地方銀行の自己資本比率ワーストランキングを確認した。
地方銀行の経営にとって自己資本比率だけでなく、収益性など他にも重要な指標はあるものの、安定性を示す自己資本比率がワーストランキング上位に位置する銀行で働く人は、銀行の決算によく注目していく必要があるだろう。
合併や経営統合によって、買収される側の人員削減等になることも考えられ、要注意であろう。
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