銀行は経営、人事戦略に流行ワードを取り入れたがる

銀行あるある

銀行あるある(銀行あるある | 銀行員の味方~バンカーに役立つ情報提供 (penpen-gordon.com))にて、「流行りを取り入れたがる人事や経営戦略」と挙げました。各行の統合報告書やディスクロージャーを見ていて、そのあるあるを確認できたのですが、何か数値化できないか、と思っていたら素晴らしいレポートをみつけました。

統合報告書またはディスクロージャー誌をテキストデータに変換し、単語ごとに頻出ワードをカウントしたというものになります。

都市銀行グループ、地方銀行グループ、第二地方銀行グループに分類した場合の2016年から2021年に増加した頻出ワードは、以下の通りの傾向があるとのことです。

頻出ワード

都市銀行:エンゲージメント、インクルージョン、気候変動、SDGS、DX、サステナブル、サステナビリティ、ESG、再生可能エネルギー、排出、サイバーセキュリティ

地方銀行:ステークホルダー、ガバナンス、コンサルティング、地域社会、人材、課題解決、新型コロナウイルス、アライアンス報告書、デジタル、社外取締役、気候変動、DX、SDGS、ソリューション、コーポレート、執行役員

第二地方銀行:コンサルティング、取引先、本業、ベンチマーク、執行役員、経営者、新型コロナウイルス、ガバナンス、SDGS、社外取締役、事業承継、コンプライアンス、課題、提案

銀行業の統合報告書等をテキストマイニングで読み解く 2022年07月21日 | 大和総研 | 中田 理惠 | 長内 智 | 大和 敦 | 石川 清香 (dir.co.jp)

都市銀行グループの傾向

2021 年の頻出単語を見ると、多くのESG関連のワードが出ていることが大きな特徴であり、企業の情報開示項目や経営課題としてESG分野を幅広く重視 している様子が読み取れる。他には、金融DX等のデジタル関連のワードが目立つ。

業務の効率化や収益性の改善などのために、金融DXの取り組みを積極的に推進している様子が分かる。また、プラットフォームという単語が増加しており、都市銀行グループは、金融DXを起点に、金融プラットフォーム・ビジネスを強化して収益機会の拡大を図っており、こうした経営戦略における重点テーマも捉えられている。

地方銀行グループの傾向

主な特徴としては、都市銀行グループと同様に、ESG関連やデジタル関連においてワードの種類も多い。他方、地域社会や地域経済といったワードが登場している点が都市銀行グループと異なる。地元の地域社会・経済により密着した経営形態を持つ地方銀行の特徴がでている。地方創生の実現に向け、地域金融の分野から地域社会・経済に貢献していくという意識が高まっていることがうかがえる。

第二地方銀行の傾向

主な特徴としては、環境関連のワードは増加傾向にあるが、第一地銀と同様に、 「SDGS」や「環境」といった大枠のテーマのワードとなっている。また、都市銀行グループや第一地銀と異なり、デジタル関連のワードは増えていない。

現在、銀行業では、業務の効率化や収益性の改善のために金融DXの取り組みが流行りな課題となっているが、第二地銀の開示資料からはそうした様子がうかがえない結果となっている。

一方で、コンプライアンスやガバナンス(社外取締役、執行役員)等の事業関連のワードが増えていることがうかがえる。

まとめ

以上のように、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行でそれぞれ特徴はあるものの、SDGS、DX、サステナブル、気候変動等の流行ワードを経営戦略へ取り入れていることが確認できた。

一方、その戦略に中身があるか、というのは銀行で働く方が一番詳しいのではないでしょうか。

無意味に手数料の高いESG関連の投資信託を販売していませんか?普通に運転資金を貸し出せばいいのに、環境関連で私募債を発行させていませんか?企業の本質的な課題を理解していないにもかかわらず、ビジネスマッチングで手数料欲しさにITツールの提案をしていませんか?など、いろいろと問題はあると思います。

形式的な戦略だけでなく、地域や取引先の問題解決につながる戦略を考えてほしいものです。

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